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拍手文 2011/2 [過去拍手文]

2年前・・・?!

なんと。このころは毎月書いていたんですね~~~体力あったな・・・

ちょうどギリギリ2月のでした。よかったです(私の気分ですが)









節分

「主上、朝でございます」
珠翠の声で劉輝が目を覚ますと、冬の朝は晴れていた。
後宮のそこかしこで女官たちが炒った豆を外に向かって撒いている。
「今日は節分か」
「はい。後ほど正装に着替えていただきます」
季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられているため、
炒った豆を撒いて鬼を払う行事が行われるのだ。
「あ、今年は南南東が恵方ですので」(2011年)
「わかったのだ」
女官の可愛らしい『鬼は外、福は内』の声を聞きながら劉輝は朝餉を取るために廊下を歩いて行った。

行事は何事もなく終わったが、朝廷の中は騒然としていた。
「来る、奴らが来るぞ」
「大事な物はしまっておけ!」
「窓は開かないように・・・き、来た!」
どどどどど・・という地響きをたてて、扉や窓を抑える文官をものともせず、武官がなだれ込んで来た。
『鬼は~~~~~外~~~~!!!!』
バチバチバチと豆が投げ付けられる。武官の手によって投げられるので、当たると痛い。
『福は~~~~~!!!!!内~~~~!!!』
文官も負けずにこのやろうとばかりに豆を投げ付ける。
「痛って~~!」
「やりやがったな」
「この~~!」
毎年恒例の節分大会が始まった。

「李侍郎は?」
「あれ?いない?珀明!李侍郎はどうした!?」
「絳攸様は、紅尚書と退出されて・・・いませんか?」
「「「「「まさか・・・迷子に・・・」」」」」」

よりによってこんなときに・・・
凍りつくような吏部室の寒さに飛び込んできた武官達が震えあがったのは言うまでもない。


拍手ありがとうございます。
まさかの双花出番なし・・・いえ、一応あります。









節分と言ったら・・・


絳攸は外朝の回廊でうろうろしていた。

「李侍郎、危ない!」
抱きつかれると、押し倒された。
パラパラパラと豆が覆いかぶさる男に当たる。
「よかった、痛くなかったですか?」
満面の笑みを浮かべた男が見下ろしてくる。
「あ、ああ」
さっきからこんなことの繰り返しだ。

黎深様の後をついて歩いていたはずなのに、いつの間にかはぐれていた。
節分の行事の後に文官、武官対抗の節分大会があると分っていたから、早く吏部に帰りたいと焦っていた。辿りつく前に始まってしまったから、さんざん豆をぶつけられると覚悟していたのに。
少し歩く度にいろんな部署の人間に庇われている。

「吏部はこの先を右ですよ」
「・・・分った」
そうして数歩進むと、『李侍郎!』とまた他の男が飛びついてきた。
豆は当たらないけれど、いい加減疲れる。いつになったら吏部まで行けるのか・・・。

そう思っていたら、自分の上に乗っていた文官がひょい、といなくなった。
「絳攸、何してるの」
見慣れた男の笑みに、むっとしながら答える。
「なんだ。お前は今日は敵だろう」
「まさか。私はいつでも君の味方だよ」
だから、こいつらは片付けなくちゃね。そう言って手に掴んでいた文官の男を背後に投げ捨てた。
「あ、俺を助けてくれたのに」
「助けてくれたと思ってるんだ?」
文句を言う絳攸をかわいいねぇと楸瑛は見つめた。
豆から守ると言って、抱きつく口実にしているのに気がつかない絳攸は初心なのか、鈍いだけなのか。

「本当に守るって、こうするんだよ」
楸瑛はそう言うと、外套で絳攸を包むと抱き上げた。
バチバチと楸瑛に豆がぶつかる。
文官、武官両方からの豆攻撃をものともせず、楸瑛はゆっくりと回廊を歩いていった。

あとには、李侍郎に抱きつく一年に一回の機会があああ、と泣き崩れる文官達が残されていた。


あれ?楸瑛がいい人に・・・・おかしいな。










節分と言ったら、やっぱり。



外套に包まれていたし、楸瑛の腕に守られてもいたから、
それほど豆も当たらず痛い思いはしないですんだ。
使われていない一室に入ると、楸瑛の腕から下ろされる。
「吏部じゃないのか?」
「今はどこも修羅場だよ。しばらくここで潜んでいよう」
たしかに遠くから悲鳴やら怒号が聞こえてきて、吏部に戻っても仕事など出来ないだろう。
「座って」
長椅子に、楸瑛と二人で座る。
使われていない室だから、火鉢も置いていない。
一枚しかない外套に二人で包まるのは寒いからだ。
手を繋いだのは、寒いからだ。
触れあう躰が熱く感じるのは、寒いからだ。

どうしよう、と思う。
どうしよう。
楸瑛のぬくもりが心地よくて、ずっとこのままでいたくなる。
おかしいと思う。ただの腐れ縁なのに。

困っているときに、いつの間にか現れて助けてくれる男に、心が動かされていることは知られたくない。
でも、
今、
告白されたら・・・抗うことは出来ないかもしれないと思う。
そんなことを考えていたから、楸瑛に話しかけられて躰が震えた。

「絳攸・・・」
間近に見える真剣な楸瑛の顔つきに、繋いでいない方の手で外套を掴む。
「な、なんだ」
何を言う気だ。と絳攸が身構えた。

「私の恵方巻きを食べてくれない?」

ごそごそと下穿きを緩めようとする楸瑛に、
「誰が食うかああああああああ!」
絳攸は黎深様特注の鉄玉を懐から出して、思いっきり投げ付けたのだった。



拍手、ありがとうございました!
今年の恵方は南南東です。(2011年)

「さっきの楸瑛うんぬんは、気の迷いだからな!」
絳攸がそう申しております。




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