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拍手文 2011/1 [過去拍手文]

1月の拍手文です。

姫始めにしたかったんですけれどねぇ・・うそです(笑)


彩雲国に年賀状があるのか!とか、細かい事は笑って見過ごしてくださいね。





年賀状




新年の紅家貴陽邸は慌ただしい。
紅家縁の者達が、当主の黎深に挨拶に訪れるからだ。

一番大きな客間に黎深と百合が座り、年賀の挨拶をするだけなのだが、
その後に別室で供される食事の指示などは絳攸の仕事だった。
さすがに紅家になると訪れる人数は半端なく、また、家の格などにも配慮しなくてはならないから、絳攸は気疲れも合わさって夜になるとぐったりした。

「絳攸様、あとは私達にお任せください」
家令にそう言われて甘えることにする。
自室に戻ると侍女が甘い菓子とお茶、そして年賀状を持ってきてくれた。

各州に赴任された同期や同僚からの一年に一度の便りは、なくても困ることは無いけれど、
もらえると嬉しいもので。結婚したとか、子どもが生まれたなどの喜びを分けてくれるのだ。
吏部官吏達からもきていて、「どうか尚書が仕事をしますように」などと苦笑するしかない願いが書かれていたりする。

最後に手にした年賀状で絳攸の手が止まった。
差出人は藍楸瑛。昨日まで王と執務室にいた腐れ縁だ。
「しょっちゅう会っているのに・・・」

そう思いながら飛び込んできたのは、『結婚しました』の文字
「いつの間に?水臭い奴だ」
知らせてくれたら、祝いの品くらい届けたものを。そう思いながら、胸が苦しくなるのは菓子を食べすぎたせいだと思う。
「どんな女人なんだろう」
二人が寄り添う絵姿が添えられていた。

青銀の髪の毛に・・・白い肌。絵が小さくて見にくいけれど、瞳は菫色のようだ。

・・・・・・なんか、俺に似ているな。

俺みたいな容姿が好みだったのか?・・・・・・まあ、好きだの、愛してるのと戯言をいつも言っていたけれど。
名前は・・・李絳攸さんっていうのか。

え?

もう一度書かれている名前を見直した。
確かに 旧姓 李絳攸 とある。
李姓は一番ありふれた名前だけれども・・・・。

混乱している絳攸の室に養い親が入ってきた。
「お前はいつの間に藍楸瑛の嫁になったんだ?」
手には絳攸が持っているものと同じ年賀状がひらひらと揺れていた。




ありがとうございます!
さて、楸瑛は何人に年賀状を書いたのでしょう?






まだ年賀状



藍家貴陽邸
こちらも年始の挨拶に訪れた客たちで賑わっていた。
紅家と違うのは、貴陽での本家直系の楸瑛が一緒に宴に加わっていることだ。

賑やかな室の扉がバアン!とけたたましい音をたてて開かれた。
現れたのは、憤怒の形相をした絳攸だった。手には年賀状が握り締められている。
「楸瑛!なんだ!この年賀状は!」
と怒鳴り付けた言葉は歓声によってかき消された。
「「「「「「「楸瑛殿の嫁が来た~~~~!」」」」」」」

わぁ!と上がった歓声に、なんなんだとうろたえる絳攸を人々が取り囲む。
「ようやく姿を見せてくれましたな」
「いや~めでたいですな!」
「家の娘を嫁にと思っていましたが、あなたなら仕方ありません」
理解できない言葉の波に気押されて、絳攸は楸瑛の元に駆け寄った。
「みんな酔っているのか?わけの分らないことを」
「ああ、大丈夫だよ。安心して」
にっこりと微笑む楸瑛の笑顔はいつもの楸瑛で、ほっと胸をなで下ろしかけて、
はた、と気付く。
そうだ、文句を言いに来たのだった。
「楸瑛、お前なんで」
こんな年賀状をという言葉はまた遮られた。
「新婚のお二人をいつまでもここに引きとめておいてはいけませんな」
「そうじゃ、気が付くのが遅かったわ!」
「さあ、紅閨の寝所の用意は出来ておるか?」
紅閨?それって、新婚の寝所のことじゃないか?あからさまな言葉に真っ赤になる絳攸を藍家の人々は初々しいと微笑ましく見ている。
開放的な雰囲気は流石に藍家だな、などと感心している場合ではない。

「楸瑛、早く勘違いだと言え!」
楸瑛に縋りつく勢いの絳攸をひょい、と抱えて楸瑛は集まった人々に宣言した。
「皆の申し出をありがたくうけよう。今年が皆にとって良い年であるように」
また湧きあがる歓声に見送られて、楸瑛と絳攸は室を出た。

「お、お前!お前!なんてことを言うんだ!」
「せっかくの皆の気持ちを無下にはできないでしょう?」
「何が無下にだ!早く下ろせ!」
ばたばたと暴れる絳攸をものともせずに楸瑛は自分の室に向かって歩く。
「そうだ!なんだこの年賀状は!これが勘違いの根源だろうが!」
皺皺になった紙切れを楸瑛につきだすと、ああ、という顔になって楸瑛が笑った。
「ちゃんと読んでごらんよ。『そうなったらいいな』って書いてあるから」
慌てて皺を伸ばして良く読むと、確かにそう書いてあった。本当に小さな小さな字で。

「まさか絳攸に正月から会えると思わなかったよ。年賀状を出した甲斐があった」
呆然とする絳攸ににっこりと微笑んで、楸瑛は、逃がさないからね。と囁くと
寝所の扉を閉めたのだった。


拍手ありがとうございます~~~。
おめでたいお正月なので、たまには楸瑛にいい思いをさせてあげようと思います。
拍手の楸瑛はいつも可哀そうなので(笑)


絳攸はにょたでも、どちらでもいいように書きました。
藍家ですから、その点はおおらかな気がします(笑)



今年もよろしくおねがいします。




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