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拍手文 2010/11 [過去拍手文]

11月の拍手文って出してなかったですね?!

わぁ、すみません。

今回は親子です。

絳攸はどちらでもいいように書きました。(多分)









朝から貴陽紅邸は慌ただしかった。
「奥様、これを」
「髪型はいかがいたします?」
「だんな様、こちらのお召し物を」
・・・・・忙しそうだな。
その中で絳攸はゆっくりと朝ごはんを食べていた。
忙しい中心は黎深と百合だったからだ。
・・・・休みでもないのに。もしや黎深様は今日休むつもりでは?
ただでさえ忙しい吏部だ。勝手に休まれると困ると思いかけて、絳攸は諦めた。
・・・・尚書がいないのはいつものことか。
黙々と朝ごはんを食べる。

「絳攸、どうだ」
扉が開いて、絢爛豪華な衣装を身に付けた黎深が現れた。
「・・・・・・どうしたんです。朝賀みたいな格好をして」
いや、朝賀の時より豪華だった。
「そんな格好で出仕を?」
「今日は休む」
「黎深様!」
「そんなことはどうでもいい。絳攸、似合うか似合わないかを聞いている」
扇で絳攸の顎を持ち上げて聞いてくる。扇まで豪華になっていた。
「お似合いですよ。盗賊に身ぐるみはがされないように気をつけることですね」
「ふん」
憎まれ口をたたいたが、紅色で飾り立てた黎深は確かに似合っていた。
「黎深、絳攸にからむんじゃないよ」
現れた百合を見て、絳攸は驚いた。こちらも豪華な衣装を身にまとっている。
そして、とても美しかった。

「綺麗です、百合さん」
ぽろりと本音を漏らす絳攸に、百合がうれしそうに微笑んだ。
「簪はどうした」
「もういいじゃないか。頭が重くなる」
「いいわけあるか、来い、選んでやる」
「黎深が選ぶと、派手になるから嫌だ」
ぎゃあぎゃあ騒ぎながら、二人は出ていった。

・・・いったい、何が。今日はなにか祝い事があっただろうか?

ふと、日付を思い出して、絳攸はふふっと笑った。

「そうか、今日だったか」

今日は二十二日、いい夫婦の日。
黎深と百合が貴陽の「いい夫婦」に選ばれて、式典に呼ばれた日だった。

「嫌だこんなの!」
「なんだと!?」
遠くの室から二人の声が聞こえてくる。

「喧嘩するほど仲が良い・・・か」
絳攸は嬉しそうに笑って、卵焼きをぱくりと食べた。







いい夫婦の日 その後 



「そうか、今日はいい夫婦の日なのだな」
執務室での休憩中、絳攸はお茶を飲みながら今朝の話をした。
「そうなんです、黎深様が妙に張り切ってましてね」
「あの、紅尚書が・・余も早く秀麗といい夫婦になりたいのだぁ~」
「・・・・・・・・・」
「そのためには、立派な王にならないとな」
「がんばるのだ~~」
「・・・・・・・・・」
いつもは会話に入ってくる楸瑛がさっきから無言だった。
「楸瑛はどうしたのだ?」
「さあ?腹でも痛いんじゃないですか?」

「ちがいます・・・・」

「何か悩み事か?余でよければ聞いてやるぞ」
「休憩時間中に終らせろよ」
冷たく言った絳攸をチラと見て、楸瑛は劉輝に話し出した。

「がんばったんですよ。藍家家人総出で、書いて書いて書きまくりました・・・・」
もしかして、いい夫婦の日の話か?
たしか、いい夫婦だと思う夫婦を葉書に書いて送り、その数で決まるらしい。
「お前の兄夫婦も仲良しだが、藍州に住んでいるからな。貴陽に住んでいる人間が対象らしいぞ」
かなり落ち込んでいる楸瑛を慰めようと絳攸が言った。
「ちがうよっ!絳攸!兄上夫婦なんか書いてないよっ!」
「???じゃあ、誰を書いたんだ?」
藍家家人総出で書いたくらいだ、相当の有名人に違いない。
「君と私に決まっているじゃない!」

「夫婦じゃないだろうがああああああ~~~!」
涙目で訴える楸瑛に、絳攸は怒鳴って殴り飛ばした。

なんとなく察知した劉輝はさっさと避難していた。
喧嘩する二人は微笑ましい。だが、
「楸瑛、まずは恋人になってもらうのが先なのでは・・・・」
そう思いながら、劉輝はお茶を飲んだのだった。


拍手、ありがとうございました!






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