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拍手文 2010/10 [過去拍手文]

あの・・・・今さらなんですが、
10月の拍手文・・・忘れてました。

ホントに申し訳ないです。

基本的には拍手文の楸瑛はおバカさんです。

カッコイイ楸瑛が大好きな人は・・・・読まない方が(笑)












読書週間
 

「お前の邸に行っていいか?」
執務室からの帰り道で絳攸が聞いてきた。
「大歓迎だよ!いつ来る?泊まっていくかい?」
「そうだな、そうさせてもらうかも知れん」
「~~~~~!!!!」
絳攸が自ら楸瑛の邸に来たがるなんてめったに無いことだ。
いつも花が、月がと理由をつけては誘って玉砕している。それなのに、泊まる?
楸瑛はうれしくて、飛び上がらんばかりだった。

待ちに待った公休日。
楸瑛は朝からそわそわしていた。絳攸の好きな料理に、菓子も酒も用意した。
敷布にも香を焚き込んであって、用意は万端だった。
(何の用意かは聞かないでくださいね)
拍手文の題名が色気が無いことが気になるが、は、もしかして、書庫で?
などとドキドキしているうちに、絳攸が着いたことが知らされた。

「悪いな、昼過ぎに来た方が迷惑にならないと思ったのだが、待ち遠しくてな」
絳攸も待ち遠しいと思ってくれたのだ。楸瑛はジーンとした。
やっと、やっと想いが・・・・。感動している楸瑛に、絳攸がにっこりと笑顔で言った。


「で、お前が最近大量に仕入れた本はどこなんだ?」


・・・・・・・。
ま、負けるものか、ここでお約束などと終られたら5月と変わらないではないか!
楸瑛は、くじけそうな心を叱咤した。そうだ、書庫で愛を語ってもいいじゃないか。
あそこはもう涼しいし、良い感じに薄暗い。よし、そうしよう。

「ははは、絳攸は本当に本が好きだね。お茶の用意をさせよう、書庫で・・・・」
お茶でもと続けようとして、楸瑛はあることを思い出した。


最近仕入れた大量の・・・本?


さあっと、楸瑛の血の気が引いた。それは、もしかして先日行われた同人誌即売会で影まで使って購入しまくった、『絳攸桃色草子』のことなのでは?

書庫だけは迷子にならずに辿り着ける絳攸がすたすたと先を進む。
「こ、絳攸、ち、ちょっと待って、ね、さ、先に部屋でお茶でも」
「ああ、本を選ばせてもらったら、頂こう」

「ちょっと、待ってえええええ~~~!」
楸瑛の絶叫が藍家貴陽邸に響き渡った。


拍手ありがとうございます!

読書週間は、10月27日から11月9日までの2週間です。
この間は読書を推進する行事が集中して行われるそうです。
秋の夜長に、ゆっくり読書もいいですね。




まだ読書週間


双花菖蒲は同人誌でも人気でたくさんの種類の本が販売される。先日も影を使ってやっと全部購入できたくらいだ。
そしてその本は書庫の卓子に山のように積んであるはずだった。

絳攸に見られたら・・・。
楸瑛は焦りまくりながら、絳攸が書庫に行くのを止めようとしたが、本が大好きな絳攸には何も効果がなくあっけなく書庫の扉は開かれた。

ギイィ

ああ、・・・・・・・もうだめだ。
がっくりとうなだれている楸瑛に絳攸が聞いてきた。
「楸瑛、新しい本はどこだ?」
どこって、目の前に積んであるじゃないか・・・。そう思いながら、見ると卓子の上には何もなかった。なぜだと不思議に思っていると、家令が絳攸に声をかけた。

「絳攸様、若様が最近買われた本をお探しでしょうか?」
「ああ、たくさんの本が運び込まれたと噂で聞いて」
「それでしたら、藍州の御兄弟や姫様方にお送りいたしました。もうすぐ読書週間ですので、若様が本を贈られたのです」
家令はそう言って、流行の衣装の本や、医療、芸術、小説の題名をあげた。
「・・・・そうか。残念だが、楸瑛いいことしたな。」
絳攸は感心して褒めてくれたが、楸瑛には何のことか解らない。
「え?・・・ああ、そうだね」
「ところで、絳攸様はこの旅行記はもう読まれましたでしょうか?」
家令が差し出した本を見ると、絳攸は満面の笑みを浮かべた。
「買いそびれた本だ。楸瑛、これを貸してくれるか?」

気に入った本を手にほくほく顔の絳攸と自室に戻る途中、家令がこそりと楸瑛に耳打ちした。

「あの本は、若様のお部屋の箪笥に隠しましたので、ご安心ください」

藍家家令の給料がアップしたのは言うまでもない。




やっぱり読書週間


カサリ、カサリと絳攸が本の頁をめくる音。
卓子の上には花の香りのお茶。
楸瑛の室では静かな時間が流れていた。

絳攸は本を読みだすと夢中になってしまって口もきいてくれなくなる。
その間、楸瑛は絳攸を眺めてすごす。

色素の薄い長い睫毛、口元は好きな本を読んでいるせいか微笑んでいる。
・・・・ああ、なんて可愛い。

楸瑛は大好きな菫色の瞳を見たくなって、少しだけ絳攸に近づいた。
「わっ」
下ろしていた髪が触れてしまったらしい。絳攸は驚いた拍子に卓子の茶碗をひっくり返してしまった。服にもお茶がかかってしまっている。
「ああ、驚かせてしまったね。熱くなかったかい?着替えを出すよ」
藍色の衣服しかないけれど、今だけでも藍色の服を着た絳攸を見てみたい。
そう思って、箪笥の扉を開けた。

バサリ

「楸瑛、何か落ちたぞ」
「ん?」

黒い表紙に双花菖蒲が描かれたそれは、一番人気の絵師と作家の合同誌。
『絳攸黒草子』(24禁)だった。

しまった、家令が言っていた箪笥はこれだったのか、早くしまわなければ。
慌てて楸瑛が拾うまえに、絳攸がさっと拾い上げていた。

「こんな本、出ていたか?」
あああああああああ~~~~!開かないで~~~~~!
楸瑛の心の叫びもむなしく、絳攸がパラリと表紙をめくった。



パラリ、パラリ、と絳攸が頁をめくるたびに、楸瑛の寿命が短くなる気がした。


「な、なんか絳攸に似てるよね、髪の色とか、き、奇遇だね。それに、黒髪なんかいっぱいいるしね。」
絳攸の手が止まった。
ちょうど、挿絵の絳攸(に似た絵だけどね!)は両手を縛られて、背後にいる自分(に似て描いてあるだけなんだよ!)が道具を使って責めていた。
は、はやく、閉じて~~~!
「似ているだけか?『あん、あん、しゅうえい、はやく』『なにが欲しいか言えたらあげるよ、絳攸』とあるが?」
そんな、無表情で科白を読み上げなくても・・・・。
びくびくしている楸瑛を尻目に、絳攸はびりりっと本を真ん中から破り捨てた。

「ああああああ!何するの~~~!!!」
「何するじゃないわああああ~~~!この常春莫迦があああああああああ~~~~!!!」
今度は絳攸の絶叫が響き渡ったのだった。



拍手ありがとうございます。


その後の楸瑛は
①なかなか手に入らない『絳攸黒草子』なのでがっかりする。
②隠してあった他の草子が見つからなくて良かったと安堵する。
③どうせ破るなら、桃色草子だったら良かったのに。と思う。

どれだと思いますか?全部?当たりです(笑)



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