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拍手文 2010/8 [過去拍手文]

更新もないのに、来てくださって申し訳ありません。

ちょっと煮詰まってます・・・・。がんばるね~

8月の拍手文です。 いつも忘れてすみません。





1

熱中症に気をつけましょう


今年の貴陽は猛暑だ。
外朝をさまよっていた絳攸は、滝のような汗をかきながら焦りはじめていた。
・・・・そろそろやばい
この暑さに迷子体質は命とりだ。迷子など認めたくないが、早く水を飲まなくては大変なことになるのはわかる。
軽く始まった頭痛とめまいに絳攸は立つことが出来なくなって、その場にしゃがみこんだ。

「やっと見つけた」
視界は真っ暗だったが、楸瑛の声にホッとする。
抱き起こされて、口に当てられた筒から水が流れ込んでくる。
ごくごくと咽を鳴らしながら飲み干し、楸瑛にもたれるようにして意識を手放した。


「涼しい場所に運ばなきゃ」
風の通る木陰に絳攸を運んで、胸元から最近配布された「熱中症対策指南書」を取りだした。毎年、軍の演習中に倒れる者が出るので、今年は陶老師が中心になって指南書が作られたのだ。
そこには、衣服をゆるめて、水分を補給すれば回復すると書かれていた。さらに、足を高くして手足を中心部にむけて揉むのも有効だとか。

「こ、絳攸、やましい気持ちは無いからね。そうしないとよくならないから・・・」
絳攸の服を脱がして、体を揉むなんて・・・官舎に連れて行けばよかった。
そんな不埒なことを考えながら、絳攸の官服に手をかけた。

バシッ!
「ぎゃあ!」
楸瑛の後頭部に扇が見事に当たった。いたたたと振り返れば、紅尚書が立っていた。
「何するんですか」
「それに何をする気だ」
「絳攸が熱中症になったから、介抱してあげようと・・・・」
「水を汲んでこい。絳攸の世話は私がする」
反論しようにも、絳攸よりも冷たい氷の視線が突き刺さり逆らえなかった。
結局、楸瑛は黎深様にこき使われ、絳攸には指一本触れることが出来なかったのだった。







ほんとに暑いです   にょた絳攸で


卓子の上に置かれた薄紅色の衣装を前に、双花菖蒲の二人は無言だった。

「えっと・・・・絳攸、それはなにかな?」
「砂漠の地方の衣装らしい・・・・・お前知っているか?」

先日、絳攸が熱中症で倒れてしまった。こんなに暑いのにきっちり官服を着ているのが悪いのではないかと、口には出さないが絳攸に甘い養い親は貴陽よりも暑い砂漠地方の衣装を取りよせたらしい。

卓子の上に広げられた衣装はキラキラとした飾りがたくさん付いていて、さらさらした生地は気持ちよさそうだ。そして、上衣はどうみても胸しか隠れないモノだった。

「こちらの下衣は貴陽でも着ている形じゃないかな」
いたたまれなかったのか、楸瑛が下衣を手に取って言った。
腰から足首まで長さがある下衣は布をたっぷり使ってある。
「透けなきゃな」
「・・・・・これを着るの?」
衣装を睨むようにみている絳攸に返事は無かった。
黎深殿に与えられたのなら着るしかないのだろう。
「ちょっと着てみる?」
無言の雰囲気にたまりかねて口を滑らせた楸瑛は怒られると身構えたが、
返ってきた言葉は思いがけないものだった。
「そうだな、着てみて具合が悪いようなら黎深様に断れるからな」

ええええええ?これ着るの?どこで?朝廷で?いやいやいや、
ここで、ここでぜひ着て欲しい!楸瑛の心からの叫びが通じたのか、絳攸は侍女を借りると別室に入っていった。

楸瑛は藍邸の書庫に飛び込むと砂漠地方の風習が書かれた書籍、巻物を必死で探した。
着替えた姿はまだ見ていないが、想像は出来る。あの衣装で朝廷に出仕をさせられなかった。というか、させたくない。
あの衣装で熱中症を防げることは出来ないという証拠が必要だ。

数刻後
「楸瑛、どこだ」
絳攸の声がしたので戻ってみると、胸だけ隠してお腹丸出し、下衣は付けていても太ももあたりからはうっすら透けてみえる、ジャラジャラした飾りを付けた見たことの無い妖艶な絳攸が立っていた。
・・・・・ああああああ、絳攸、なんて綺麗な・・

ドタン!
可愛い絳攸を堪能出来たのはほんの数秒、楸瑛は蒸し暑い書庫に籠っていたため、熱中症で倒れたのだった。

楸瑛が手に持っていた巻物によって、べりーだんすの衣装であること、砂漠では着ないことが分り、きらきらした衣装は二度と着られることは無かったのだった。



ちょっと楸瑛がいい思いしたかもしれません。
拍手ありがとうございました。


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