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拍手文 2010/7 [過去拍手文]

忘れておりました。すみません。

7月の拍手文です。



まだ梅雨です

工部に珍しい来客があった。
「お、李侍郎じゃねえか。陽玉に用か?」
扉を開けただけで、むせかえるような酒の匂い。梅雨時で湿度が高いから尚更むうっとした匂いが立ちこめる。
酒に強くない絳攸は、すでにくらくらしながら返事をする。
「いえ、管尚書にお願いがありまして」
絳攸は管尚書から望みのものを受け取ると去っていった。

「ありゃあ、藍将軍が夢中になるのわかるなぁ」
酒の匂いだけで酔って頬を染めた李侍郎から、なんとも言えない初々しい可愛さがにじんでいた。
「ま、陽玉の色気には及ばねぇけどな」
だけど、あれを何に使うのだろう。首をかしげながら管尚書は仕事に戻っていった。

「絳攸~」
定刻が過ぎ、楸瑛が侍郎室に入ってきた。絳攸の手をとると、一緒に帰ろう、ついでに夕餉でも、そのまたついでに藍家に泊りにおいでといつものように能天気に話しかけてくる。
「あれ、この匂いは・・・」
楸瑛が目ざとく机に置いてある小瓶をに目を向ける。
「茅炎白酒・・だね?」
酒に強くない絳攸がなぜ、と楸瑛が不思議そうに聞いた。

・・・・飲ませて正夢にしちゃおうかな、なんて思ったことは絳攸には内緒だ。

「黎深様が教えてくださったんだ」
絳攸は楸瑛に握られている手を引くと、手巾に瓶の中の茅炎白酒を沁み込ませる。
「高濃度の酒は消毒に使えるらしい」
そう言って、手をふきはじめた。
「絳攸?!ど、どういう意味?」

えっと、常春菌消毒・・・かな?
うるうると泣く楸瑛に絳攸は「そのままの意味だ」と言いそうです。





7月はやっぱり七夕

「願い事を短冊に書くんだよ」
そういって、楸瑛が色とりどりの短冊を差し出した。

「なになに、黎深様が健康でいますように。君は本当に黎深殿が好きだねぇ」

「次は・・・百合さんがずっと綺麗でいますように。実際、お綺麗だよね百合姫って」

「これで終り?・・・・・私のことは?」

「・・・楸瑛が紅州牧に、自分は藍州牧になり・・ええ!?本気?本気なの?絳攸?!」
真剣な目でしがみついてくる楸瑛に、絳攸が答える。

「紅州と藍州だったら国の端と端。一年に一回、朝賀のときに会えるなんて、織姫と牽牛みたいでいいだろう?」
この際、悠舜殿に異動の申告をしてこようと言った絳攸に、抱きしめている腕に力を込めると楸瑛は囁いた。
「本気じゃないよね?今さら離れるなんてできないよ」
不安の混じった声音に、絳攸は苦笑して楸瑛の背中に腕をまわすと、そっと自分からくちづけをした。

「お前は何を書いたんだ?」
自分からなんて、恥ずかしすぎて誤魔化すように絳攸は楸瑛の書いた短冊を手に取った。

「一日も早く絳攸と○○(自主規制)出来ますように」
「・・絳攸と毎日○○(自主規制)が出来ますように」
「・・・・絳攸のお口で○○(また自主規制)してくれますように・・」
「あっ!絳攸、何するの」
まだまだある短冊をぎゅううっと握り潰し、楸瑛が止めるのも構わずにくしゃくしゃにすると、やっぱり藍州牧に立候補しようと心に決めたのだった。


拍手、ありがとうございました~

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